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アメリカと日本の撮影の違いとは!?日本で働いているアメリカの撮影監督へのインタビュー Vol.1

by oshimanaoki
 
credit image: Daniel Lazoff

映像業界では、撮影に関してそれぞれの国で好みや文化があります。今回のテーマである「アメリカと日本の違い」について、アメリカの撮影監督をされているDaniel Lazoffさんのお話を伺いました。

 

インタビュー概要:Daniel Lazoff(撮影監督)、2018/12/18、vivito本社にて。

 

HV*: まず最初に、アメリカと日本のキャリアについて教えてください。

Dan**: 2007年にテレビ番組の制作アシスタントとしてMTVで働き始めました。それから、アシスタントディレクターとしていくつか仕事をしていて、カメラマンとしては色々なテレビ番組で働いていました。その時はフリーランスだったので、様々な会社で働くことができました。それから数年後に、撮影を集中的に始めました。2013年から、「キャットフィッシュ」というMTVで人気のあるテレビ番組のカメラマン/ポストプロダクションプロデューサーのオファーを受け、その約3年後、2016年に日本へ拠点を移しました。

 

HV: 日本ではどのようなスタートを切りましたか?

Dan: 日本に来る1年前に、映画とテレビ業界でコネクションを作るために日本で旅行をしました。その甲斐もあって、いくつかの企業の仕事やWebコマーシャルのオーファーが来ました。日本に来てから2年半になりますが、去年から大きなプロジェクトに関与していて、自分のクライアントリストを持つことができました。

 

HV: 日本に来てから、何件のプロジェクトに関わってきましたか?

Dan: そうですねぇ、100件以上ですね。

 

HV: カメラマンを目指したきっかけや、どのようにキャリアスタートされたか、教えていただけますか?

Dan: 19歳の時に、映画を学びたいと思い学校へ通いました。その時の私は、「作家や、ディレクターになりたいな」というストーリーを思い描いていました。でも実際はですね、脚本家やディレクターは好きではなかったことに気づいたんですね(笑)。ある日、学生の映画を撮影していた時、先生がそれを見て「素晴らしい。あなたは映画を撮影するべきだ」と言ってくれたことがありました。

それがきっかけで、自分のやり方でいいのなら、撮影を続けるべきだと思いました。

credit image: Daniel Lazoff
 

Dan: なぜ日本で映像の仕事をしたかったのですか?

日本には、旅行で何度か来ていました。最初は2003年で、その時に日本がとても好きになり、素晴らしい場所だと思いました。それと、私の親しい友人が日本人ということもあり、一緒に何度か旅行をしました。何年もロサンゼルスに住んでいましたが、心休まる感じはなく、それに比べて日本に対しては印象がどんどん良くなっていくのを感じました。「3〜4年後、日本に行く!」と思いたち、そこから色々と計画し始めました。

 

HV: 日本の好きなところは何でしょうか?

Dan: 日本の食べ物や公共交通機関、ナイトライフが好きです。

カメラマンとして思う日本の良い点は、すべてが写真映えする、ということです。

田舎に行けば、非常にゴージャスな美しい風景が広がっていますし。また、建築物も素晴らしいです。同じ形、同じ色、同じ傾向が他国の都市には見られますが、東京ではそういった型がなく、何でもありな感じに好感が持てます。街を歩く時、ふと建造物を見上げれば素晴らしく感じるので、とても刺激的です。

 

HV: 制作して印象に残った作品はありますか?

Dan: 特にないですね。というのも、一番最新のプロジェクトが常に一番ベストに思えるはずですから。多分(笑)。

今まで自分が携わった作品の中でベストはあるはずですが、常にプロセスを勉強していると思っているので、それを言わないようにしています。これは自分の価値基準の一つですね。

 

HV: では、今までに忘れられない撮影はありますか?

Dan: 最悪だと感じる撮影はいつも覚えているものです(笑)。

それが本当にひどい撮影なら、あとは良くなるだけ、だと思っています。実は、ひどい撮影、難しい撮影、あるいは働きたいと思わないディレクターと関わる時の方が、感謝することが多いです。なぜなら、そういった時の方が、より一層頑張る気持ちになるし、その経験が次の撮影で活きてくると思っているからです(笑)。

credit image: Daniel Lazoff
 

HV:アメリカと日本の違いは何ですか?

  1. 撮影方法

a. ライティング

Dan: 日本だけではなくてアジア全体の撮影方法で気づいたのは「明るすぎる」ということです。例えばテレビでNHKを見るとき、内容はいいのですが、雰囲気がない、という感じです。アメリカでは、こういうことを「シットコム・ライティング」と言います。全ての光が真上から差している状態です。つまり、光に形や深さはなく、すべての方向から光が差しています。これは主にテレビでよく使われています。

 

注記:「シットコム・ライティング」とは、アメリカのコメディドラマ(シットコム)で使われている照明のやり方です。照明の位置を頻繁に変えてしまうと、撮影現場にいる観客の迷惑になるので、シットコムでは常設照明を使い、照明が観客の邪魔にならないようにしています。

 

b. フレーミング

フレーミング(フレームの中に被写体をどう収めるか)という観点では、日本は少し枠を広げる傾向があると思います。その結果、場面の中で対象物を多く見ることができます。その方法の良さは分かりますが、時には、もう少し対象物に近づけて親密な感じを出してもいいな、と思います。

c. シーン撮影

他の違いは、撮影の仕方についてです。日本ではラインごとに撮影され、アメリカではマスターショットとして全部のシーンが撮影されています。その後、クローズアップで各キャラクターが撮影されます。

 

注記:「ラインごとに撮影」とは、全てのシーンではなく、特定のシーンだけを撮影することです。

 

また、日本ではディレクターは頭の中で編集してしまうので、「このシーンだけでいいよ」となれば、他のシーンは撮りません。これは編集がうまくできないことに繋がることもあります。

最近の若いディレクターは、より適応していると感じています。特に、オーストラリア、アメリカに留学したディレクターです。
例えですが、アメリカで、1つのシーンには、5つのショットがあります。全てのショットには価値があります。キャラクターは話さなくても、顔だけ撮影することもあります。

 

注記:日本がラインごとに撮影するのは、アメリカに比べて映画予算が少なかったり、撮影時間が短いことが原因と考えています。

 

2. プラン(撮影計画、準備)の立て方

Dan: 私の経験では、アメリカと日本では結構同じですね。というのは、どちらも計画や準備が少ないですね。いつもぎりぎりという感じで。日本だけではありません。この業界では、ほとんどこのような感じですね。特に小〜中規模、プロジェクトが複数連携する場合に多いです。

 

3. 関係者とのやりとり(現場監督、プロデューサー、アシスタントとの会話など)

Dan: プロデューサーとディレクターの関係はよく分かりませんが、今まで私とディレクターの関係は、アメリカでも日本でも同じでした。日本のディレクターは撮影監督を雇う時に、本当はカメラマンだけ欲しいのだと思います。私はプロジェクトによって違いますが、特に大きなプロジェクト、特にフレーミングに関わりたいので、このショットが他よりも良い、と言えるようにしたいのです。今まで私を雇ったディレクターは私の意見に敏感でした。

日本では、ディレクターはトップにいます。そして、撮影監督は、ディレクターがビジュアルストーリーを作成できるパートナー、というよりは、監督のビジョンを実行するカメラマンのようなものです。

アメリカでもほとんど同じですが、システムは少し違います。撮影監督はディレクターとイコールではありませんが、自分の意見を言うことができます。

日本での経験からすると、(自分の意見を言っても)まぁほとんど大丈夫でしたけどね。

credit image: Daniel Lazoff
 

4. 日本が遅れていること(アメリカと比べて)

Dan: ありますね。特にテレビで。視聴者が興味のある分野ですから。アメリカのHBOドラマを見ると、テレビ番組は小さな映画のようなものです。一方、日本では少しチープな感じでしょうか。日本にはたくさんの素晴らしいストーリーがあると思いますが、視覚的側面を改善する必要があると思っています。国際的な魅力になる可能性がありますよ。

 

注記:アメリカではストリーミングが流行っています(Netflixを使っているのはアメリカで53%。日本では16.5%)。とはいえ、日本でもストリーミングは人気があります。例えば、56.9%の日本人はAmazon Primeを使っているようです(アメリカでは29%)。

 

5. アメリカで流行っていること、日本で流行っていること:

米国の大きなトレンドは、主に配信に関係しています。アメリカでストリーミングは大きなトレンドですね。日本では人気がありませんが、ストリーミングウェブサイトを使用している人々の数は、アメリカに比べて全然違います。アメリカでストリーミングと言えば、Netflix、HBO GoやHuluです。日本ではまだそのトレンドが完全に到来していないと思います。

 

6. 働き方の違い、文化の違い、クリエイターに対する扱われ方:

日本では、ほとんどが丁寧ですし、働きやすいと思います。ロサンゼルスで働いた時に、プロデューサーや役員の中にはちょっと大変な人もいました。誰に対しても大声で叫んだり、理由もなくクビにしている人もいました。日本では、それを経験したことがありません。

その他の大きな違いですが、アメリカで大きなプロジェクトに参加した時に、プロデューサーはいつもトップです。

日本では、皆が自分の意見を言うことができますが、一人だけが決心しているわけではないので、時々遅くなってしまいます。小さいプロジェクトであれば一人で決められますが、大きなプロジェクトではアイデアを持っているが多くて、ヒアリングをするために打合せをします。

アメリカでは、プロデューサーかディレクターが決めますね。(ディレクターによって違いますが。)

 

7. クリエイターに対する扱われ方:

若干ですが、日本のほうが平等だと思います。少なくとも、一人一人がより重要だと感じられます。アメリカでは、トップ/ダウンの関係です。撮影監督としては、大きな違いはないと思います。

 

8. アメリカの将来性、日本の将来性

テレビ制作という点で日本が欧米諸国に追随できれば、(Netflixまたは、Huluの制作のような)そこに成功の大きな可能性があるでしょう。最近、日本政府が観光業を発展させていると思いますし、結構うまくいっていると感じています。例えば、アメリカでは日本についてわかっている人がほとんどです。なので、日本のテレビは良いコンテンツを作るようにすれば、成功する可能性が高いと考えています。

 

HV: 魅力的な映像を作るために大事にしていること

Dan: 落ち着くこと、正直にすることを心がけています。これは絶えず改善しているものです。昔の同僚は正直だと思っていましたが、いつも正直なわけではありませんでした(笑)。

良い撮影監督かつ積極的な人、周りにいる人々を楽しませる人になりたいです。それを大事にしています。そうなるには本当に改善に尽きると思います。また、礼儀正しい人々と仕事をすることは非常に役に立つと思います。

credit image: Daniel Lazoff
 

HV: プロジェクト成功のポイント(コツ、秘訣)

Dan: 重要なことは、困難になってもあきらめないことです。ベタな表現と思われますが、本当だと私は思います。例えば、ロサンゼルスの劣悪なアパートに住んでいた時に、絶望的に感じていて、多分この仕事をやめて別の業界にいくべきだと思いました。しかし、耐えて頑張った結果、一週間後仕事のオファーがきました。個人的なアドバイスですが、難しくても、諦めないで、頑張ることが大事だと思います。

 

HV: レンズの好み、使い方

Dan: 必ず明るく撮れるレンズを選びますよ。背景から対象物を切り離すことができるレンズを好みます。安いレンズを使えば、最大口径が小さいものがあるので、特にワイドショットを撮影するときにすべてのものに焦点が合います。だから私は99%の時に大きく開く撮影をしています。

 

HV: 監督がレンズを選択することはありますか?

Dan: 監督は私が選択したレンズについて何か言うこともできるし、もちろん監督自身が決めることもできますが、実はあまり経験したことがありません。監督が決めたのは多分一回だけですね!(笑)

 

HV: ジャンルのこだわり

Dan: 良いストーリーである限り、あまり気にしないですね。あとは、出来るだけキャラクターに近づいて撮影することが多いです。そのキャラクターの気持ちと、同じ気持ちになることを意識していて、ロマンチックなシーンでも悲しいシーンでも、私は何でも感じるようにしています。

 

HV:スキル向上のためにやっていること(例: 絵画や構図、写真から学ぶことが多い場合は、その具体例)

Dan: 撮影後、家に帰ったら、もっとうまくやれたんじゃないかといつも考えています。

自分が撮影した映像を見て、それを分析して、何が改善できるのかを確かめています。同じ間違いをしないようにメンタルに関するメモを取って覚えています。これは仕事を改善する上で、非常に効果的だと思います。それから改善するべきもう一つのことは、自分より上手な人と働くことです。私よりも経験のある撮影監督と仕事をすることで、撮影監督としてのスキルが向上すると信じています。

 

HV: 撮影ルールを気にすることなく撮影したことはありますか?

Dan: いつもですよ!(笑)ストーリーが意味を持っている場合はいつもです。重要なことは、どうしてこのルールがあるか、いつ守らないか、ということです。撮影ルール=ガイドライン、と言えますね。私たちが撮影するときはキャラクターを3次元で見ていますが、映像にすると2次元に変わるので、この変換を考慮したガイドラインはあります。ただ、方向感覚をなくすようなエフェクトをしたいなら、わざとそのルールを使わなくてもいいです。例えば、ホラー映画の場合などです

 

HV: 好きではないジャンルはありますか?その理由は?

Dan: 過去15年間で言うと、Gus Van Santが作ったものが嫌いです(笑)。

それ以外は何でも見ますし、良い面だけをキープします。どんなにひどい映画でも、良い部分を認めます。映画やテレビに関して言えば、私はそんなに口うるさくないと思っています。

リアリティーショーでも構いません。
日本のテレビについては、2~3つくらい、アメリカではたくさんです。

 

HV: 映画撮影は、今後、時間と新しい技術によってどのように進化しますか?(例えば、スマートフォン)

Dan: それは良い質問ですね。カメラマンとして思うのは、一番はカメラが小さくなっていくことです。今の仕事を始めた時に、大きなカメラで勉強していました。今は「RED Camera」で撮影しています。素晴らしい画像が出ます。

今の時代では、DSLRやミラーレスカメラで撮影している人が多くなったと思っています。スマートフォンでも撮影できますし。

最近、私はiPhoneを買いましたが、カメラが本当に素晴らしいと思います。5年前、今のスマートフォンを持てれば、必ずこのカメラで撮影していたはずです。

 

HV: 新しい挑戦をしたいですか?挑戦してみたいことがありますか?

Dan: より大きなプロジェクト、より大きなCM、より大きな映画に挑戦してみたいと思っています。私の夢は新しい日本のドラマに撮影監督として参加することです。

 

HV: 素晴らしいです!今後も多くの魅力的な映像を撮影してください!
インタビューにご協力いただきありがとうございました!

 

Daniel Lazoffのプロジェクトについてもっと知りたいなら、Vol.2 をご覧ください!

 

Daniel Lazoffの仕事はこちらから! :

http://www.cameramandan.com/

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*: HelloVideo! blog担当

**: Daniel Lazoff