感情的な映画を撮影するには?~光とレンズの絞り方の重要性~日本で働くアメリカ出身の撮影監督へのインタビューVol. 2

by oshimanaoki

credit image: Daniel Lazoff

今回、撮影監督をされているDaniel Lazoff(以降Dan)さんに会ってきました!
彼はアメリカのシアトル出身で、日本で2年半働いています。Danさんは「映画業界で働きたい」という思いを胸に、シアトルから南カリフォルニアへ拠点を移しました。当初は、ライター、ディレクターを目指していましたが、キャリアを重ねるごとに、そこに働く意味を見出せなく感じ、映画カットやカメラを突き詰めたいと決心することになり今の職についています。

今回のインタビューでは、「アメリカと日本の撮影の違い」をテーマにしています。その違いについてもっと知りたいなら、Vol.1のインタビューをぜひご覧ください!
Danさんは、邦画では共通して使われている「ワイドショット(ロングショット)」を日本のディレクターは好む傾向にある、と指摘しています。彼の場合、ワイドオープン(レンズが一番開けている状態)の撮影が99%を占めており、背景から被写体を孤立させたり、被写体とともに一種の親しみを出すことに繋げています。

それでは、Danさんが関わったドラマのプロジェクト、「Teen Empowerment Project」、監督Koei Taga、を通して、彼の撮影方法を見てみましょう!

インタビュー概要:Daniel Lazoff(撮影監督)、2018/12/18、vivito本社にて。

 

HV*: プロジェクトについて教えてください。

Dan**: 現在のプロジェクトは、実際にあった非常に悲しい4つの短い映像で構成されています。そのストーリーの主役は、虐待を受けている10代の若者です。若者向けの芸術的な映像で、まるで虐待関係にいるような感覚を覚えます。

ディレクターは、色々な手法でアロノフスキーの作品のような映像を求めていて、大抵ディレクターの作品は、どこかファンタジーな要素がありますが、現実的な一面もあります。

基本的には、使えるものはなんでも使い、視聴者がまさにそこにいるような、リアルな感覚を得られるような作品を求めます。

また、撮影には照明を使いましたが、本当は使いたくありませんでした。作品の特徴から、一種の汚れた印象を与えたかったので、時により暗く、時により見えるような方法でショットを撮りました。

HV: そのストーリーに合わせるために何か特別な撮影方法を採用しましたか?

Dan: 全体の撮影では、視聴者がそのシーンをまさに見ている状態感を重視しました。三脚を使うと、どうしてもカメラを固定して撮影された感覚を与えてしまいがちなので、ごく自然に感じてもらえるよう三脚は使いませんでした。
それから、撮影の85%は自然光でした。

 

トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=7yVi0dHiMEY&feature=youtu.be

HV: いくつかのシーンでどのように撮影されたか紹介をお願いします!ではまずバスケットボールのシーンからよろしくお願いします。

Dan: はい。これはバスケットボールのシーンの一部ですが、まず、日光が教室に直接当たっていない日中の時間帯で撮影できるかを確認しました。なので、撮影したのは正午頃ですね。その時は太陽が一番高い位置にあり、窓から光が差し込んでいるシチュエーションでした。また、少しカーテンを閉めて、一種の拡散状態になるようにし、教室の電気を消しました。このプロジェクトでは全体的に暗い雰囲気にしたかったのです。一般的には、より現実的に見せるために部屋の照明を使いますが、今回のストーリーには最良ではないと判断しました。

HV: なるほど。それで部屋の照明を全て消したということですね?

Dan: はい、部屋の照明を消して、窓からの日光を使いました。

ベージュのカーテンを閉めて、一方向から来る、自然で柔らかな雰囲気を出しました。

HV: 他の光は必要なかったんですか?

Dan: はい、使いませんでしたね。このシーンでは5~6つの異なるショットを撮り、光に応じて微修正しながら型を決めていきました。教室内に他の光は入れませんでしたね。

HV: 他の光を使わなかったんですね。

Dan: 自然光だけでしたね。

HV: リフレクターも使わなかったんですか?

Dan: このシーンでは使ってないです。ですが他のショットでは使いました。

 

トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=POQgrqgK-nA&feature=youtu.be

HV: 昼食のシーンについてはどうですか?光を反射して撮影されたように見えますが。

Dan: はい、その通りです。このシーンは、背景が完全に消えないように注意しました。窓の反対から撮影したこともあり、太陽が非常に照っている状態でした。ですので、シーン全体が露出不足の状態になりました。それから、真っ白になったり何も見えなくならないように、少しリフトアップしてハイライトを露出補正しました。

 

トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=AuEOSMQ_I-Y&feature=youtu.be

HV: 続いて、電車のシーンをお願いします。

Dan: 5分程度でこのシーンを撮影しましたが、その5分のために電車が来るのをひたすら待っていましたね(笑)。早朝だったこともあり、光はとても柔らかくいい具合でした。

 

トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=AuEOSMQ_I-Y&feature=youtu.be

HV: この眠っているシーンの光は美しく見えます。このシーンについて話して頂けますか?

Dan: もちろんです。これは、私たちが「マジックアワー」と呼んでいる、日没前の薄明かりの時間帯に撮影したものですね。なので、良く輝いて見えると思います。実際は、学校の中庭あたりで撮影しました。日が沈むまで待って、薄明かりの光の中で、対象が純粋に晴れやかに見えるような時間帯を狙いました。とても写真映りが良いですね。その日は、特に日中が短かい冬の時期だったので、マジックアワーの時間は20分ほどしかなかったです。

 

トレーラー:https://www.youtube.com/watch?v=TiP9WGddAEY&feature=youtu.be

HV: 最後に、少女の電話シーンですね。 このカットを見ると、強い気持ちが感じられると思います。シーンの撮影方法を教えてください。

Dan: はい。まず、この撮影方法はフレーミング的な洋式の一つと言えます。そして、ワイドショットで撮影する時に、シャープな焦点でのみ見ることができます。例えば、このシーンを見ると、特に彼女の指と一つの目が見えて、他はすべて焦点が合っていません。

このシーンでは、彼女は恋人と激しい会話をしている状況で、彼氏が叫んでいます。なので、彼女の顔と感情に集中させるために、彼女の周りが気にならないよう、目の中の感情や震える手を見せたかったんです。

このプロジェクトでは、映画監督が他の同じ状況でワイドショットを使いたがっていましたが、私はいつも反対していました。「必要ありません!」と(笑)。

 

HV:どれも思いがこもった素敵な写真ですね!
インタビューにご協力いただきありがとうございました!

 

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http://www.cameramandan.com/

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*: HelloVideo! blog担当

**: Daniel Lazoff